詐欺に出くわし、変な資格を取得させられそうになった話
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それは一本の電話から始まりました。
「お世話になっておりますー○○(社名)の藤崎と申しますー!えぇとですね、先日お送りした資料はもうご覧頂けたでしょうかー?」※藤崎は女性です。
会社にかかってきた電話であれば「何の事だろう…」と思う所ですが、自宅にかかってきた電話なので一切迷う余地もありません。
目次
藤崎氏との2時間に渡る攻防を本邦初公開!
僕「資料は請求しておりません」
藤崎氏「いえいえ、お客様請求されましたよ(笑)」
僕「請求していないんですけど、間違いなく」
藤崎氏「いえいえ、○月○日に請求されております。記録が残っていますから(笑)」
僕「ちなみにどんな記録ですか?」
藤崎氏「それはお客様にお話しする事は出来かねます(笑)」
僕「そうなんですね。結構です」
と、有無を言わせず電話を切った12秒後位にまた電話がかかってきました。
それより藤崎氏の語尾に(笑)をつけていますが、何で笑っていたんでしょう…本当この文章のまんまです。愛想笑いなのかも知れませんが単に不快です。
藤崎氏「あのーお客様、お電話が切れてしまったようですが(笑)」
僕「切れたんじゃないです、切ったんです」
藤崎氏「酷いじゃないですかー。少しだけお話聞いて頂けませんか?
じゃないと私、上司に怒られてしまうんですよ…(笑)」
なぜ、僕が電話を切ると藤崎氏が怒られてしまうのかが分かりません。電話営業って数をかけるのが基本だと思うのですが…たった一人の客に電話を切られて怒られていたら時間がいくらあっても足りません。
そんな小さな謎から大きな謎までひっくるめて、何故か少しずつこの藤崎という女性と、藤崎氏がこれから何を話すのか?に興味が湧いてきました。
すると、「お客様、“○○業務取扱管理者”という資格をご存じですか?」と来ました。
「これはまさか…懐かしの資格商法か!!」
10年くらい前に問題になった詐欺の手口です。当時は遭遇する事がありませんでしたが、結構な数の知人、友人がこの詐欺と思われる電話に捕まり、数時間拘束されたという話を聞いていました。
ちなみにどんなものかと言いますと…
◆ 在宅で誰でも簡単に高収入を稼げる資格である。
◆ パソコンで文字を打ったりメールの送受信が出来るレベルでOK。
◆ 「パソコンを持っていない」と言うと、「ボールペンで字が書けるだけでOK」になる。
◆ この資格を取ればまず間違いなく一生安泰。
◆ しかも特別な教材がある。これを使えば合格率ほぼ100%。
◆ ただし、この教材が70万円前後。
こんな感じです。
しかし、まさか2014年の今、時を超えてこんな電話がかかってくるとは驚きです。ますますもって藤崎氏の魅力に惹き込まれていく自分を感じます。 それに流行のサイクルは10年に一度繰り返すと言われています。これが本当に懐かしの資格商法であれば貴重なデータになるかも知れません。
そして、これが本当に懐かしの資格商法であれば…
もしかして恫喝されてしまうかも知れない
ドキドキしてきました。当時、聞いた話によると、資格の話を断った瞬間、担当者の態度が豹変し、それはそれは恐ろしい脅しをかけられるケースが多いとの事だったからです。そこで、本当に脅されてしまうのかを検証したくなり、しばらく付き合ってみる事にしました。
藤崎氏「(説明)~なんですよ!凄いと思いませんか!?(笑)」
僕「本当なら凄いですね。本当なら凄いと思います」
藤崎氏「ですよね!有難う御座います!(笑)で、ですね(説明)」
こちらとしては「本当なら」を強調した筈なのですが、そちらの方は一切聞こえていないようでした。そして、なぜいちいち話し終わりに笑うのでしょうか。馬鹿にされている気がしてきました。
それは置いておいて藤崎氏…とにかく話が長いです。説明だけで30分位ずっと喋っていました。そして、ようやく話の出口が見えてきたかなってタイミングで…
藤崎氏「有難う御座います!!ではこのお電話でお手続きの方を進めさせて頂きますね」
僕「えっ!」
藤崎氏「どうしました?ご不明な点がございますか!?」
僕「ご不明って…お金かからないんですか?」
藤崎氏「これからご案内しようと思っていましたが、教材費とシステム利用料で29万8000円になります」
僕「高いですね…」
藤崎氏「高いですよね~でも元はすぐ取れますので!」
聞いていた価格と比較すると随分リーズナブルになった印象です。もしかしてアンカリング効果というやつなのでしょうか。なんにせよこれ以上は面倒な事になりそうなのでそろそろ切り上げた方が良さそうな気がしてきました。
僕「うん、分かりました。結構です」
藤崎氏「結構って何がですか?」
僕「あぁ資格です。資格結構です。取らない事にします」
藤崎氏「…」
僕「もしもし?」
藤崎氏「北海道も暑いんですか~?(笑)」
僕「はい?(笑)」
藤崎氏「いえー北海道も暑いのかなと思いまして!こちらは滅茶苦茶暑くてー(笑)」
僕「(笑)」
藤崎氏「やっぱり全国的に暑いんですかね!(笑)」
僕「北海道は暑くないですね、普通です(笑)」
藤崎氏「行ってみたいなー北海道(笑)」
僕「来てみたら良いと思いますよ(笑)」
藤崎氏「冷たーい!案内して下さいよ(笑)」
僕「いやいや(笑)」
藤崎氏がフレンドリーになってきました。
そして、いつの間にか自分の語尾にも(笑)をつけなければならない事態に…
藤崎氏「ところで資格の件ですが、本当に良い話なんですが考えて頂けましたか?(笑)」
僕「資格の件は結構ですとお伝えしました」
藤崎氏「本当に今しか取れない資格なんですよ!」
僕「ですから結構です」
藤崎氏「こんな簡単に取得出来てすぐに収入になる資格ありませんよ?」
僕「だったら家族や友人にお勧めしたらどうですか?」
藤崎氏「もちろん家族も友人も皆持ってます。本当に良い資格ですから!」
僕「それなら家族の家族、友人の友人にお勧めしたらいいでしょう」
藤崎氏「…」
僕「家族も友人も喜んで協力してくれるでしょ?普通に考えて」
藤崎氏「…」
僕「それに家族間、友人間なら既に信頼関係が出来上がっていますよね」
藤崎氏「…」
僕「こんな風に赤の他人に営業かけて断られるより、ずっと効率的だし藤崎さんも嫌な思いしなくていいでしょ?」
藤崎氏「…」
僕「本当言いにくいんですが…詐欺ですよね?」
藤崎氏「…今なんて言いました?」
僕「何です?」
藤崎氏「今なんて言いました!!!?」
僕「えっと…(笑)」
藤崎氏「………少々お待ち下さい」
藤崎氏がお怒りになられました。
保留ボタンを押す事もなく待たされたので受話器の向こうの様子が何となく分かります。藤崎氏は誰かと話していて、その誰かが男性である事、その男性の喋り方が非常に輩っぽい事まで掴む事が出来ました。
そして…
「上司ですがね!!」
このたった一言で、この上司の人となりを察するには十分です。同時に「あぁ…これは脅されてしまうやつだー」という予感がムンムンしてきます。
上司「あんたさー、うちのモンが真剣に説明してんのにフザケた態度取ってたようですね!こっちはな、遊びじゃねぇんだぞ!」
僕「ふざけたつもりはありませんでした。真剣に聞いていましたよ」
上司「誠意を感じられねぇって言ってんですよ!」
僕「お客さんに誠意が感じられないからって普通怒りますか…」
上司「当たり前だろ!客とか営業とか関係ねぇだろ!人間同士ならマナーがあるだろオラー!」
僕「確かに!(笑)」
上司「馬鹿にしてんのかテメー!」
敬語を要所要所に混ぜるテクニックを駆使して恫喝されました。シュールです。捨てられないポリシーか何かがあるのかも知れません。
上司「学校で先生に習わなかったか!?人の話はちゃんと聞けってよ!」
僕「もうやめましょうよ…」
上司「…ああそう。分かったわ、じゃあこっちで手続き進めとくから。来週うちの若いのがあんたん家行くから対応宜しくお願いしますね!」
僕「いや、お断りします…」
上司「じゃあ土下座して下さいよ!!」
僕「!?」
若いのって…
いやいや、それよりも…
電話越しに土下座を求められました…
これは気になります。一体どうやって僕が土下座したのかを確認するのか…
僕「土下座したら許してくれるのですか…」
上司「あんた次第だよ」
僕「…しました。今土下座しています」
上司「…」
僕「…」
上司「よし。いいだろう」
僕「…すみませんでした」
上司「真面目に働いてる奴をおちょくるのって本当最低だと思わない?本当それは一番やっちゃダメな事だから」
僕「勉強になります」
上司「気を付けてね」
当然、土下座はしていません。電話口ですからね、土下座してるかどうかなんて分かる訳がないのです。
って言うかやっちゃダメなのは詐欺の方だろ!
と、言いたい気持ちをグッとこらえて通話終了。これ以上長くなったらたまりません。なんせこの時で電話がかかってきてから実に2時間が経過していました。なぜかむちゃくちゃ怒られるという事態で幕を閉じた今回の一件。よくよく考えると腹が立って仕方ありません。時間差でストレスが最高潮に達し、警察にしっかり通報しておきました。
興味を満たす為に付き合った電話で、残ったのは「2時間無駄にした」という後悔のみ。なのでもし皆さんの所にこういう電話がかかってきたら、例え興味をくすぐられても「迷わずすぐに切る!」を徹底されるのが宜しいのではないかと思います。