2014/02/19

「ホームページを持つ企業の売上が持たない企業に比べて40%高い」について思うこと

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「ホームページを作る人のネタ帳」さんが、言って欲しい事をズバッと言ってくれていたので便乗しようと思います。管理人さんがお住まいなのが僕の地元(北海道旭川市)ということで、前々から勝手に親しみを感じていましたが、HPを持っていない中小企業がおかしな解釈をしないよう願うばかりです。早速ですが、

スキャナ、複合機を買ったら「御社のサイト、作ります」――ブラザーが法人向けキャンペーン

今回の施策は、中小企業を対象に行ったホームページについての調査結果から生まれたもの。調査では「400万の中小企業のうち、304万社が自社のホームページを持っていない」「ホームページ構築の障壁はスキルやコスト、時間」といった中小企業の課題が浮き彫りになると同時に、ホームページを持つ企業の売上が持たない企業に比べて40%高いという結果が出たという。これを受けてブラザーは、キャンペーンの商品としてホームページのプレゼントを用意した。

今回は上記のニュースに対する私的な解釈になります。

その数字に全く意味はない

前提が「400万社の中小企業への調査」とされていましたが、業種・業態を絞らない400万社であれば、単純に売上だけで比較する事が経営状況の良し悪しを測る基準にはなり得ないし、十把一絡げに“中小企業”というその規模によっても大きく変わります。

ちなみに中小企業基本法では、

中小企業基本法では、第二条で「中小企業者の範囲」を次のように定義している。資本要件、人的要件いずれかに該当すれば、中小企業者として扱われる。

 

1・資本の額(資本金)又は出資の総額が3億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

 

2・資本の額又は出資の総額が1億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの

 

3・資本の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの

 

4・資本の額又は出資の総額が5000万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

 

 

このように定義されていますが、今回の調査結果は「どの規模からどの規模まで」を対象に行われたものかがわかりません。ただ対象がどのような設定であれはっきりしているのは、企業規模が大きければそれだけ自社ホームページを構えている率が高いのは間違いないという事です。社内に技術者を雇い入れている確率や、ホームページ運営に充当出来る人員と資金の確保のしやすさ等、様々な理由があるにせよここはまず覆らないでしょう。

それらを踏まえて考えると、これは大変な誤解を招きかねない表現だと思う訳です。まさに「卵が先か?鶏が先か?」という話のようですが、

本当にホームページのおかげで売上が40%高いのか?

それとも売り上げが十分あり自社ホームページを持つ企業とそれ以外の企業を比較し、結果論的に「40%高い」という形になったのか?です。僕も広告を作っていた人間なので事情は良くわかります。こうした数字は積極的に使っていきたいものです。

しかしながら、「ホームページを持ちさえすれば売上があがる」という中小企業経営者さんが増加するのは、非常に忌々しき事態だとも思うのです。特にこの誤解は中小企業さんはもとより、Web制作業者にも問題として波及して来ます。

例えば、「ホームページを作ったけど誰も見に来ないし売上も伸びないぞ!あのWeb制作業者は詐欺だ!」と言われたりすると凹んでしまうのですが、そういう事が売り切りで制作をしていた時は何度となくありました。そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

「お宅に任せたら利益が出るの?」

お客さんにこう聞かれた時、ほとんどの制作業者は「運用次第です」と答えざるを得ないはずです。産れたばかりのホームページがガンガン人を集めてコンバージョンを出しまくってマネタイズしていく筈はありません。

そんな事は当たり前だと分かる人の方が多いと思いますし、そういう人は全く問題ないのかも知れません。また、そういう人であれば「HPを持つ企業の売上が持たない企業に比べて40%高い」というフレーズに違和感を覚えるでしょう。

ただ、そうでない人には「正しい情報」を伝えてあげなければいけないと思います。情報の誤認からスタートした案件に関わる全ての人が不幸になってしまいかねません(もちろんお客さんも含めて)。

結論:運用出来なければほとんど意味なし!

完全否定になってしまうと、それもまた僕が考える事とは違いますので補足します。僕が疑問に感じたのは、

「ホームページを持つ企業の売上が持たない企業に比べて40%高い」
⇒「だからホームページをプレゼントします!」

という“切り出し方について”です。ホームページをプレゼントするというキャンペーン自体に異論がある訳ではありません。ホームページの有無だけが「売上40%の差」を直接的に生み出しているものだとは考えにくく、最も大きな問題だとはとても思えない為、ホームページを持つ事で「売上がUPする」との錯覚を招く表現はいかがなものかと思い、私的な解釈を述べさせて頂きました。

この件につき、もしも「私はこう思う」という方は、反対意見も含め是非お聞かせ頂ければ幸いです。

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